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体験的デジタル鑑賞コンテンツ
WALK VIEWとは

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  • 本研究の概要

    本研究は、既に美術館向けデジタルコンテンツを開発している企業(大日本印刷株式会社)の支援を得て、図画・作科・美術科の鑑賞領域に適合したデジタルコンテンツの開発をし、それらを活用した美術鑑賞授業の効果を実証的に検証するものである。
    鑑賞授業の構想にあたり、デジタルと本物体験を結ぶ博学連携も企図している。デジタル学習後にオリジナル作品との出会いが結実することで、筆致や作品の重量感、色、匂いといった実物がもつ物質的魅力をも味わうことができる鑑賞活動の実現を狙いとしている。

  • 研究の背景

    我国では、2020年の教科書完全デジタル化を目途とし、政策的対応が進められている。「学びのイノベーション事業実証研究報告書」(文科省、2014)によると、「教材などの提示だけでなく、体験的な学習が必要、対面でのコミュニケーション活動を併せて行うこと」が提示され、新しい学びに適応したデジタル教材の開発が求められている。一方、我国における取り組みは主たる教科が中心で、美術教育分野が開発対象とされる事例は少ない。
    世界的にみても、Web利用の美術鑑賞データ(仏)、鑑賞データと指導案の提供(米)など、美術領域においては教師用指導資料として用いられるばかりで、学習者主体のコンテンツ開発まで至っていないのが現状である。

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Contents

Walk View

スクリーンに映し出された作品の前に鑑賞者が立ち、作品に向かって歩いていくと、目の前の作品が部分的に迫ってくる。

みどころルーペ

「みどころルーペ」は作品の細かい表現を観察し、見落としがちな描写に気づく、探索的な絵画鑑賞を実現する。

デジタルペン

これまでのワークシート主体の活動では自己との対話に終始していたが、「デジタルペン」を活用することで、自己と他者の思考を交錯させることができる。

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実証授業の概要

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成果

イマジネーション豊かに作品世界を捉えることができた

「Walk View」と「みどころルーペ」の活用によって、
自分なりに作品世界を感じて考えを深めていき、「地獄の不気味さ、追われる人間の感情、対照的な現世の美しさや儚さといった多角的な解釈を言葉で表現していた。

画像から表象の色や形の特徴を捉え、想像力を働かせて絵を読んでいる記述が見られた

授業での協働性が高まり、生徒間で相互に影響を及ぼし合う鑑賞活動になった

見たい箇所を拡大して観察できる「みどころルーペ」の特性により、
班のメンバー同士の探索の機会や対話の場面が活発に生まれた。

「デジタルペン」の導入により、
記述内容をクラス全体で共有できたことで、自分にはない新たな考えに多く出会う機会になった。
ある生徒が他のある生徒の面白い考えに気づき、生徒間で発表を促し合う場面も生起した。

オリジナル作品がもつ物質的魅力に気づき、自立した鑑賞態度の育成につながった

美術館で本物に出会った際は、
色づかいの多様さ、筆致、作品の大きさ、質感といったオリジナルが持つ迫力、情報量の多さを実感する契機となった。

館内に展示されている他の作品鑑賞でも、物質的魅力の気づきに加え、授業で獲得した視点を活かして作品と対峙する姿勢が見られた。

【付記】
本研究は、平成25年度~平成27年度科学研究費助成事業(基盤研究(B)(一般))「美術デジタル教科書の利活用における現状と課題」(研究代表者:安東恭一郎、課題番号25285248)の成果の一部である。

主要参考文献
V.フルッサー『テクノコードの誕生 コミュニケーション学序説』、東京大学出版会、1997年
J.クリステヴァ『記号の解体学 セメイオチケ1』、せりか書房、1983年
E.H.ゴンブリッジ『芸術と幻影』、岩崎美術社、1979年

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デジタル美術教育 安東記念研究会の資料をダウンロード出来ます。

体験的デジタル鑑賞コンテンツの開発
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メンバー

安東 恭一郎
Kyoichiro Ando

  • 元香川大学 教授
  • 2016.2逝去
    1997年 日本芸術教授学研究会 理事
  • ① ―安東恭一郎、圖子ひとみ「造形活動の世界像―現象学的還元に基づく造形表現の意味理解」美術科教育学会誌『美術教育学』(第29号) 23-36 2008年

    ② 「人間学としての美術教育 ―現象学的還元に基づく芸術表現の意味理解―」世界美術教育学会アジア地区大会「プロシーディング」 256-261 2007年

    ③ 科研費基盤研究(B)25285248研究代表「美術デジタル教科書の利活用における現状と課題」

    ④ 科研費挑戦的萌芽研究15K13233「芸術と科学の融合による創造的教育(STEAM教育)の課題と可能性」 他

村上 尚徳
Hisanori Murakami

  • 環太平洋大学 教授 副学長
  • 元国立教育政策研究所、教育課程研究センター研究開発部、教育課程調査官
  • ① 福本謹一、村上尚徳「中学校新学習指導要領の展開」明治図書2017年

    ② 「美術科における学習評価の研究」日本美術教育学会学会誌 美術教育No298 2014年.

    ③ 「美術教育に適した評価方法の開発を通した学力に関する基礎研究(1)」共著、日本美術教育研究論集NO46 89 2013年

    ④ 「特定の課題に関する調査(図画工作・美術)調査結果(小学校・中学校)」、国立教育政策研究所教育課程研究センター報告書、278 2011年 他

結城 孝雄
Takao Yuki

  • 東京家政大学 教授
  • 公益社団法人 日本美術教育連合 理事
    フレネ教育研究会 代表
  • ① 結城.畑山「教育から見た「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」の実践と分析」『日本美術教育研究論集51』日本美術教育連合 平成30年

    ② 「〈新しい能力〉と鑑賞教育を結ぶ実践研究」『日本美術教育研究論集49』日本美術教育連合 平成28年

    ③ フランス「"Histoire Des Arts" 芸術史」の普及活動について-国民教育省と文化情報省によるデジタル情報の提供と活用」大美術教育学会『美術教育学研究(47)』平成27年

    ④ 『芸術史“Histoire des Arts”』研究序説 : フランス基礎教育の芸術教養」日本美術教育研究論集46』日本美術教育連合 平成25年 他

畑山 未央
Mio Hatayama

  • 東京家政大学 助教
  • 公益社団法人 日本美術教育連合 事務局
  • ① Kyoichiro Ando, Mio Hatayama (2015) " Experiment in cooperative learning from direct experience using an interactive system:Development of art appreciation learning materials utilizing a system for the virtual Experience of Entering into a Picture" SEAK International Conference , 148-156

    ② 「デジタルコンテンツを活用した自律的・協働的鑑賞活動(Ⅰ):間テクスト性概念に基づくデジタル鑑賞教育の原理」『日本美術教育研究論集49』2016

    ③ 『小学校図画工作科教育法』(共著/建帛社)2018年 他

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